百人百様|5月6日

最近よく風邪を引く。
精神がたるんでいるのか少しは賢くなったからか理由はどうあれ、
たかが風邪でも結構しんどい。
喉は水を飲んでも痛いし、
咳は喘息のように四六時中繰り返すし、
熱は出るし体はだるい。
挙句、おなか周りは筋肉痛で起き上がるのも辛い。
とにかく、この状態から少しでも脱したくて、
一日何十回とうがいをし、
葛根湯を飲んでひたすら寝ようと試みた。
でも何かが足りない、
と途中で気が付いて夫が服用していた抗生剤のグレースビットを飲んだ。
飲んで約5時間後、
あれほど痛かった喉の痛みが和らぎ、咳も断然少なくなった。
そして熱を計ると下がっている。
そこからの回復はもっと早かった。
今は何の症状も残っていない。
グレースビットの即効性恐るべし。

昨今、医療機関での抗生剤の乱用が問題になり、
患者は医者の出す抗生剤に目くじらを立てている。
生姜湯を飲んで寝ていれば風邪なんか治るもので
西洋薬剤なんか副作用で余計に体に悪いと言う人も居るけれど、
咳で夜も寝れず、高熱でなくても熱が出れば体はだるいし、
原始時代じゃあるまいし、
医薬品の進歩はすさまじいのに、
その恩恵を全く受けずして現代を生きている意味があるだろうか、
とさえ思ってしまう。
夫の闘病もこの薬剤が無ければ三年半は生きれなかった。
あらゆる治療に抗生物質は欠かせない。
治療の基本は、あくまで自分の体を冷静に直視すべきで、
それを一時の風潮に流されたり、
一人の人間の言う事の真実を知ることもなく
鵜呑みにするのは、重い脳を持つ人間のすることではない。

私にはグレースビットが効いた。
だけど、それはたまたま。
もしかすると生姜湯かもしれない。
たかが風邪なら間違っても、まだ許される。
しかし、がん治療となると、話は違う。
末期の肺腺がんでも理屈は同じ。
病態は百人百様。
それを同じとするところに標準治療がある。

大阪府立成人病センターだけではなく、
日本全国平等に治療が受けられるように、とガイドラインの名目がある。
「平等に」は、ある側面からはそうであっても、
結果的には随分と不平等だと感じる。
それを充分に分かった上で選択するという患者側の責任がある。

誰でもない自分自身が生きる環境を整えること、
共感できる人間で周りを固めること、
がん治療だけでなく、「生きる」という基本はそれに尽きると思う。
短絡的に、自分が正しいと思う事が一番正しい、
と押し付ける人の言う事には全く耳を傾けなくてイイ。

それにしても早く治り過ぎる。
夫が残したグレースビットに手を伸ばしたこと、
守ってくれているのだと、
一緒に生きているのだと
体中で感じる。