弱者の視点|4月13日

最近、パートに働きに出て 生まれて初めて、
できる限りの少人数で弱者に
限界まで働かせることでしか経営ができない企業の現場を知った。
まず、面接での仕事内容の説明と実際の現場の仕事が乖離し過ぎている。
重いものは持たなくていいし、
もしあったとしても近くにいる男性に言ってください。
忙しくて走り回るようなことはない。
労働とはそんな生易しいものではないだろう、
とは思ってはいたけれど、
想像以上に正反対で就業中は半端ではない重いものを持ち続け、
誰かに言える雰囲気など微塵もなく、
一分一秒を争って動きまくらないと仕事が片付かないし
火も扱わないのに火傷をしまくる。
貴重品を入れるロッカーも共有だと言われ、
それは意味を成さない、と言うと、
一緒に使っている人は悪い人ではないし、
今までも盗難などはなかったから、と返ってくる。

バカか。

細かい決め事も多くあるのにマニュアルは一切なく、
先輩パートの言うことはそれぞれ違うから混乱する。
部署は違うけれど、
たった一人で社員食堂を任されて
次々に時間差で入ってくる職員の対応で長時間トイレにも行けず、
目の回る忙しさで仕事をしている人もいる。
私ならとっくに倒れている。
いやその前に抗議している。
が、それが中小企業の現実かもしれない。

でも私は経営者だったから言える。
経営者側は従業員に対して筋道の通らないことは一切してはならない。
面接でウソを付くことは企業としてあるまじき行為だし、
社員のケガや病気は第一に考えなければならないし、
ロッカーの共有なんて設備をそこまでケチるなら人を雇う資格はない。
と、こんな事はよくある夫の言う
「発想が貧困で低次元な会社」ということなのだろう。
しかし、私が知らなかったのは、
そんな現場でも少々愚痴はたれても
自分の劣悪な環境に疑問を抱く人が皆無だということ。
ましてや上司に改善を求めるなど、ご法度極まりないと思っている。
そんな独特の弱者の視点に驚いた。
「人道上、問題ですよね」と私が言うと
一斉にパートの人達の白い視線が私に向く。
自分が全て背負うべきこととして完全に処理している。
それだけ選択肢の無い中におかれている。

私はほんとに世間知らずだと思い知る。

結局、日を追うごとに
自分の中で経営側としてあるまじき矛盾の蓄積に我慢ができず、
そして何よりも、こんなクダラナイ企業のために
間もなく体を壊すであろう予感に理不尽な点を挙げ連ねて止めた。
続いている人が居る以上、私は単なるヘタレに過ぎないけれど.....。

気付いた事がもう一つある。
このパートの人達と
大阪府立成人病センターで患者思いでもない医師のいいなりになって
闘病を続ける患者と共通する点。
弱者の視点なるものはちょっとやそっとでは方向転換できないものがあり、
階級を自ら作り出し、上の人間をひたすら崇拝する傾向にある。
これも必然が生み出す真っ当な道理と言えなくもない。

この歳で勉強しても仕方ないけれど、
知らないことを知ったことは事実と言える。
もう一つ、
夫が「お前にはパートはムリやで」と言っていた意味も充分理解した。