免疫治療薬|12月30日

免疫治療薬である非小細胞肺がんの新薬が承認された。
今まで、免疫治療は肺がんⅣ期には関係のない治療として
標準治療からは外されていた。
しかし、今回、抗PD-1抗体ニボルマブが承認され、
あまり日の目を見なかった免疫治療薬が
画期的な夢の新薬として注目を集めている。
殺細胞毒系の抗がん剤よりも効果が強く、
副作用も非常に軽いそうで全生存期間の大きな延長、
遺伝子検査も必要ではなく全ての非小細胞肺がん患者に適用される。
イレッサ、タルセバが無効症例にも効果を現すらしい。
また、EGFR-TKIであるAZD9291との併用で
高血圧をコントロールするかのように長期生存が可能になるという。
しかし薬価が恐ろしく高い。
保険適用とは言え、標準で月に約300万円は掛かるらしい。
アリムタ+アバスチンの薬価も一回約100万円だから、
その3倍とは突拍子もない金額と感じる。
果たして国の財政は大丈夫なのだろうか。

「夢の新薬」というとイレッサを思い出す。
投与する側の認識の甘さから間質性肺炎で亡くなる人が続出した。
それから一転して悪の新薬として名が広まり、
医療機関も患者も服用を恐れた。
常に新薬は情報が錯綜する。
大阪府立成人病センターで夫が病気を宣告された当時は、
インターネットで検索するとイレッサには
生存期間を延長する効果は全くない、という情報も結構多かった。
これはウソ以外の何ものでもない。
現にイレッサで余命数ヶ月の夫は一年近く元気で、
重篤な病に羅漢しているなどと本人でさえ忘れてしまうほどの効果を発揮した。
その時間があったから、後の治療を冷静に考える余裕が出来、
楽に三年半生きた。
イレッサだけで7年以上、元気に経過している患者さんも居る。
その反面、やはり夢などではなく全く効果の無い患者さんも当然、存在する。

昔は医療者しか知り得なかった情報が
今やインターネットで検索すればいくらでも入手できる恐ろしく便利な時代になった。
しかし、上手くインプットしないと知らない方がマシにも成りかねない。
画期的な新薬の情報は、私にはやはり辛い。
もしも....という思いがどうしても先によぎってしまう。
夫が生きている、という事実は私の最大の幸福だから仕方が無い。
だけど、人間が生きている限り全ての項目は日々進化する。
だから、終わった事も仕方が無い。
免疫治療は今後、益々進化を遂げるに違いない。
人はいつか死ぬ。
それまで自分に必要な情報を上手く消化し、
病気であっても淡々と幸せな人生を築ければイイ。