のら猫|12月12日

私にしては長距離を歩くことを決めて家を出た。_
自宅から歩いて30分ほどのところに大阪市庁舎がある。
外を歩くことは夫との思い出が充満しているので出来れば歩きたくない。
だけど、精神的、肉体的不良の原因は
運動不足にあるような気もしてそこまで行った。

そして、久しぶりにのら猫に出会った。
逃げないかな、と思いつつ近づくと擦り寄ってきた。
真っ黒でけっこう太っていて明らかに歳老いている。
きっと毎日誰かにエサをもらっているのだろう。
この辺りはオフィス街だけど川もあって古い図書館もあって
公園もあって、ちょっとした憩いの場になっている。
日曜日だったから人も多かった。
行き交う人達から孤立して猫と戯れていると、
今の私に一番近い存在のように思えてきて
帰ることをためらった。
後ろ髪を引かれつつ意を決して立ち上がって
暫くして振り返ると、
その子は私を追いかけてくることもなく
何もなかったように出会う前と同じように座っている。
帰り道、また運動も兼ねて会いに来たいと思ってトボトボ歩いた。
だけど帰ってから気持ちが変わった。
また会いに行こうなんて、

ふざけたマネは止めよう。

あの野良猫は私を必要としていない。
歳老いた野良猫なのに一匹でたくましく生きている。
今の私は弱過ぎる。

動物は自分を客観視しない。
その姿はどこまでも強くて美しい。

もう死ぬまで一人なんだから、
ふざけ合う人も居ないんだから、
自分の都合で動物を可愛がることを止めよう。

そう決めた。