守るべきもの|11月12日

夫を亡くして私には守るべきものが無くなった。
人間には誰かを励ましたいとか、喜ばせたいとか、
救いたいとかという欲求が必ず存在している。
自分ひとりが一個体である自分だけを守って生きることなど
頑張れないし感動的でもない。
何が何でもなんとかしたいという対象物があって
はじめて気持ちが沸き立つ。
救いたいから知識欲が生まれ、
行く手を阻む人にも体当たりができる。
夫と二人で生きていたときの私はなんて強かったんだろうと思う。
一年半で変貌した自分が他人を見るように
「あんな人にはなれない」と思っている。
遙かに遠く感じる過去の私に対して、
夫の存在は今でも変わることなく手の届きそうなところに在るのに
会う事は叶わない。
守るべきものがあれば妥協は許されない。
でも今は何にでも「もういいか」と思ってしまう。
虚勢を張ってみても所詮ひとり。
大阪府立成人病センターの呼吸器科の部長の前で
「私は夫を守りたいだけですから。」などと本気で言っていた。
よく言うわ。
メロドラマか。
散々堕落した自分にどうやってムチ打つのか気持ちが微動だにしない。
このトンネルからの脱出、果たして可能だろうか。


そんなこんなで緩和病棟での記録、なかなか書けそうにない。