前に進むために|9月27日

人間は、いくつになってもたとえ半歩でも前に進まなければ
生きている意味が無い。
「進む」という意味は、あくまで精神的進歩を指す。

今の私は夫が残したあらゆる物を避け、
避けているはずが狭い空間で思わず出くわし動揺する。
二度と会うことが許されない現実に、
ただひたすら目を背け
悲しみや辛さを最小限に留めることに労力を費やしている。
それでも消えることのない辛さに夫に逆ギレしたりもする。
そんな卑屈な自分をずっと許している。
悲しいならもっと悲しんで、
辛いならもっと辛さを受け入れて、
そこから自分がどう変われるのかを考えるべきだと....。

間もなく一年半が経つ。
時間が経てば経つほど、苦しみが増す事も分かった。

写真を穴が空くほど見る。
29年間、残っている洋服や持ち物を整理する。
二人で行った場所にも足を向ける。
夫が真剣に取り組んだ仕事にまつわる資料にも全部目を通す。
仕事だけではなく、
大阪府立成人病センターに持ち込んだ
ヴォイスレコーダーに入っている二人の声も全て聞く。
そして緩和病棟で記録したノートも開く。
それだけの行為を続ければ、
自分がどうなるのか想像がつかない。
つかないけれど、更に心が折れても
私の人生の中で避けては通れない項目だということは理解できる。
私にとっては、かなり高いハードルだけど、
前に進むための絶対条件だという気がする。

人間は一度逃げると一生逃げ続けることになるから。

如何なる事からも逃げなかった人の妻として、それは許されないから。