温かいとき|8月8日

夫は心身ともに仕事から離れると、
パソコンや机に向かう私の背後でいたずらを始める。
冷蔵庫から取り出したキンキンに冷えた缶ビールを首筋に当ててみたり、
ぬいぐるみを頭の上に置いてみたり、
紙管メガホンで思い切り耳横で私の名前を叫んだりする。
「きゃっ!」とか「もぉ~!」とか反応する度にゲラゲラ笑っている。
それでも私が仕事を止めない時は、背中に頭突きを始める。
こうなると仕事なんか出来るはずもない。
「もぉ~最初っからやり直しやん!」と不機嫌な私にもおかまいなしで、
更に攻撃はエスカレートする。
最終的には 次々と繰り広げられるネタの可笑しさに耐え切れずに
笑い転げてしまう。

亡くなってから、何故かそんなシチュエーションをよく思い出す。
神経質で気難しいくせに、
いくつになっても子供のように無邪気でオモシロかった。
もう一度だけそんな温かいときを味わいたいと思ってしまう。

夫への執着から何とか抜け出そうと頑張ってみるけれど、
またしてもパソコンに向かってキーボードを打ちながら、
いつの間にか夫の面影を追いまくっている。
何をしていても頭から離れることなんて片時もない。
一字一字打つたびに心の底から悲しくなるけれど、
こうしていることが今の私には一番似合ってる気がしてならない。