今の心境|5月30日

一年と二ヶ月近くが経った。
遠い昔のようでもあるし、きのうの事のようでもある。

自分にとって一番大切な存在の死を看取るという行為は、
今思い返してみても、どこまでも現実離れしていて
自分がその瞬間に立ち会っていたことすら
信じられない気持ちになるときがある。
なのに、それは紛れもなく現実だから、
それを経験した者とそうでない者には 説明しきれない隔たりがある。
夫を喪って悲しいとか、辛いとか、寂しいとか、
そんなことは今となっては残った者が
当然背負うべきものだと思うけれど、
ただ、二人で生きた時間が堪らなく愛おしい。

時は踏みしめて行くもので、
踏みしめた後から前を見るために過ぎ去って行く。
振り返ることで得られるメリットは殆ど無いかな、と思う。
だけど、結婚生活が、
「なんとなく」とは言いがたい私の唯一の出来事である以上、
この感覚は、たとえ記憶が相当あいまいになっても
消え去ることはないのだろうな、と思っている。
それはそれで、誰に褒めてもらえることでもないけれど
私達が真剣に生きた証なのだと受け止めればいいような気がする。

50代後半に入っても能動的過ぎる人は、
その勢いを止めなかった。
傍で見ている人間は、
正直そんな人が老いるときを見るのが怖かった。

もう、その心配はなくなった。

自然界に於ける動物は限りなくたくましい。
その残酷なまでの境遇にもものともしない。
人間も動物には違いない。

見習わないと。

限りなくあやふやな私は、時折そんなことを考える。