存在が巨大化する|4月17日

会いたい思いは時間の経過とともに蓄積し、増大していく。
このまま増え続けるといったいどうなるのだろう。

闘病中は泣かなかった。
泣きたいモードにならなかった。

今思えば、感情に酔いつぶれている場合ではないほど、
神経が張り詰めていて、
そして夫が存在していることが嬉しくて
涙は不思議に出なかった。
あんな状況でも満たされていた。

何なんだろう。

居なくなると夫が鮮明になり過ぎて
泣けて泣けて仕方がない。
心底、寂しい気持ちや不安な気持ちや諦めきれない気持ちがつのりまくって、
解決策が無いから泣くことしかできない。
それが日を追うごとに増していく。

闘病中は解決ではないけれど、
何とか気持ちを納得させる打開策を探して奔走していたから、
意を決して進むべきことが多かった。
何を選択しても「死」に向かっていることに違いはないのに、
それでも前向きだと言えたのだろう。

死ぬのは私が後で良かったと思っているし、
楽に死ねたんじゃないかな、とも思っているし、
幸せな人生だったよね、とも思っているのに
悲しくて仕方がない。
たぶん、思い切り世話のかかる魅力的な人に翻弄されることが
最初で最後の私の生きがいだったのだろう。
この世に居ない人には何も尽くせないし...。
動物が好きだったけど、あんまりカワイイと思わなくなってきた。

知らなかった。

ほんとに知らなかった。

伴侶を亡くした人達がこんな風に苦しんでいること。
死んだ人の存在が生きている人間の中で巨大化すること。
その巨大化した会えない面影に耐えられなくなること。

だから私は夫を思い出させる全てのものを見たくない。
外に出ることも二人で歩いた場所ばっかで堪らなくなる。

「ブタは冬眠中です。」とかよく言ってたっけ。

ブタでもクマでも何でもいいから私も冬眠したい。