郷愁|12月24日

若い頃、人生なんて何となく時間が過ぎて行くだけだと思っていたけど、
歳を重ねる度に人間って何気なくけっこう簡単に生み出される割りには
その人生はシリアスに展開するものなのだと思うようになった。

結婚をしてからの私の人生は正にシリアス感満載だった。
夫と出会ってから、それまでの私の怠惰で不真面目な人生が、
一分一秒をクソ真面目に真剣に過ごさざるを得ない状況に
カルチャーショックを受けつつも遂に29年間も夫の迫力に魅了され、翻弄され続けた。
まもなく今年が終わる。
去年とは違う不思議な空間に自分を持て余す。
尊敬も興味も義務も愛情も私が確かに持っていたもの全てが無くなった。
マインドコントロールが解けたように元の自分にすっかり戻ってしまった。
今も傍に存在する感覚は半端ないくせに、
本当にあの人と29年もの長い時間を過ごしたのだろうかと何故か涙が止まらなくなる。
郷愁なのか切なさなのか、悲しさなのか辛さなのか、自分への怒りなのか分らない。
私の標準ではない疑問に何時も答えてくれる人は居なくなった。
いい歳をして未だに聞きたい事は山ほど有る。
きっとバカな頭は死ぬまで回転せず、
疑問を残しまくって人生を終えるのだろう。
夫に陶酔する妻の図なんて、どう考えてもいただけない。
ここ7、8年引いていない風邪を引いたようで喉が痛いし頭も痛い。
きっと神経が緩みきっている証拠なのだろう。
その点、医者って色んなウィルスや病原菌に異常に強く、
淡々と仕事をこなす姿に若干の尊敬の念を抱くことがある。
彼らを見ていると抗体は体だけでなく精神にも備わるようで、
時に非人間的思考も自分を守る手段として必要不可欠なものなのかな、とすら思う。
かと言って今の自分に何が足りないのか、考えるのもめんどくさい。
二人で生きている時は自分の為に夫の事を考え行動しているのだと思っていたけれど、
一人になった今、自分の事を考えられなくなってしまった。
迷路に迷い込んで出られなくなっても、夫は助けには来てくれない。

二人で生きた時間は、やはり心底長かった。