きっと何処かで|10月4日

夫の遺骨は納骨していない。
傍に置きたいからではない。

夫の写真は、やはり見たくない。
思い出したくないからではない。

仏壇も無いし、何となく、それらしきものが作られているだけ。

花も供えない。
食べ物も供えない。
冷蔵庫に夫が飲んでいたビールが残っているから
手を出そう、とするけど、やっぱり触れない。

いつも、その場を避けて生活している。

生前の夫を偲んで、写真を見たり、
遺骨を夫だと思って手を合わせたり、する気がしない。
完全に避けている。拒絶している。

そんな平面的な、ただの物体が夫だと思えない。

生きていた夫と、死んでしまった夫の証を一致させられない。

何処か宇宙の彼方で、また、新しい人生を始めているのだと思いたい。
私には手が届かなくても、せめて楽しそうに生きている姿を想像したい。
今は私の事は忘れてくれていいから、
いつか、また会えると思わせて欲しい。

遥か宇宙の彼方で、老人にならなかった者同士、
二人だけで、また時を過ごしたい。
本当の老後を過ごしたい。

そんな夢を見させて欲しい。

もう二度と会えないのだ、と思い続ける時間に翻弄されている。
時間の経過は、人間の記憶を遠ざけるらしいけれど、
間もなく半年では、それは当てはまらないようで、
日を追うごとに、悲しみは私を容赦なく追いかけてくる。

だけど、こんなに会いたい、と思っているのだから、
私の神である夫は、いつかきっと会わせてくれるに違いない。

ずっと、悲しい。
会えないから恋しい。

喧嘩もしたし、若い頃から二人で辛い事もたくさん経験したけど
今は楽しかったことばかり思い出す。

楽しかったことを思い出して、
夫が居ない現実を思い知らされて、
そして、涙に暮れることが日課になってしまっている。