一人の生活|7月28日

一人になって、
昼間は抗欝剤を飲み、
何とか一日をやり過ごし、
やっと寝る時間が来て眠剤を飲んで眠りに付くけれど、
毎日、3、4時間後には目が覚める。
ベッドの上で寝返りを打ち続け、
一日の始まりを拒絶しながらも、
だるい体を起こし、夫の面影を追い、
本当に居なくなったのだ、と思い知る。
絶望的な悲しみは、いつも私の中に充満していて、
日を追うごとに強くもなる。
悲しみを振り払う為に、
気を紛らわせようと買い物に出かけても
本を読んでも、
掃除をしても、
最終的には、自分が惨めになるだけで、
バカバカしくなってベッドの上に舞い戻り涙に暮れる。


私には分っていた。
夫が亡くなった直後の安堵感は、
やがて悲しみに変わり、
日ごとに大きくなって行くこと。
問題は、それがどこまで大きくなって私を追い込み
いつ、少しづつでも消失して行くのかということ。
夫は記憶力に起因するから、絶対に何時かは楽になる、と断言した。


私は夫が「美味しい」と思う食べ物を作り、
夫の仕事を出来る限り手助けし、
時には夫の邪魔にならないように息をひそめ、
夫が喜ぶ顔を見たいから、
夫の人生をを少しでも楽にしたいから、
夫中心に思考回路が働いていた。

だから、自分の為だけに
時間を消費した記憶がない。


友達とお茶することも、
電話で他愛のない話をすることも無かったし、
必要に迫られて、
自分の衣類を買う時も選んでいる余裕など無かった。

夫のことを考えることが、
即ち自分の人生の全てだったから。


愛する人の為には、もうすべき事がない。
自分の為に、いったい何をどうすればいいのか、
一人になって、自分を持て余し続けている。