夢の中の出来事|7月10日

今日は、月命日。
いつも何もしない。
皆さんお供え物をして故人を思い出し、
精一杯、思いを寄せられている。
私には、それができない。
抱えきれない思い出が多すぎて、
辛くなり過ぎる。
昨日は、夫が亡くなってから入らなかった仕事場で
撮影機材の整理をした。
二時間ほど居たけれど、
堪らなくなって部屋を出た。
いつも、発作のように悲しみが襲ってくる。
目は腫れるし、クマは出来るし、
この歳になって充分ブサイクなのに、更に拍車をかける。
でも、何かをしていないと耐えられなくなる。
遺族の会に入ろうか、とも考えた。
だけど、境遇が同じ人達との交流は、
悲しみに溢れているような気もして、
やはり躊躇する。
元来、私は石橋を叩きたおして渡らない性格である。
だけど、この三年半、人が変わったように行動を起こした。
紛れも無く、夫だけの為に私にすれば、いつも精一杯だった。
それが、今はすっかり元に戻っている。
まるで、夫と過ごした29年間が幻だったような気さえする。


夫には中学生の頃からの大親友が居たけれど、
42歳の時に同じ病気で亡くなった。
それ以来、友達と呼べる人は存在しなかったけれど、
7年ほど前にアマチュア写真愛好家に向けて
無料の写真教室を開いた時に知り会った唯一の友達が居る。
その人から、元気だった頃、スタジオ内で盗み撮りした写真がメールで届いた。
とても痩せていて、神経質そうな雰囲気に懐かしくもあったけど、
驚きも隠せなかった。
夫も病気をして変わった。
不思議にも健康的に太り、穏やかになり、
何もかも悟りきった僧侶のようになった。
きっと自分でも自分自身の変貌ぶりに驚いていたに違いない。

写真家で人の写真は撮っても、
自分が撮られるのは嫌がり、
殆ど写真が残っていないので嬉しかったけれど、
こんな状態で、いつも仕事に明け暮れていたのかと思うと
辛くもなる。
二人にとって、結婚生活は
夢の中の出来事だったのかな、と思う時がある。