包容力|5月19日

夫と出会う前まで、男性を真剣に愛したことも、
その人との別れの悲しみも全く経験した事がない私は、
友達が失恋の悲しみに隣で打ちひしがれていても、
慰める術を知らなかった。
しかし今の私は、人を深く愛し、心から尊敬し、
胸をかきむしられる程の別れの辛さを経験した。
だからと言って私が人間的に成長した訳ではない。
それは、夫が私を深く愛し、
全てを受け入れてくれたから
私の気持ちが、どんどん夫に傾いて行っただけの事である。
言わば他力本願の極致なのだ。
自分が一生を共にしたい、
と決めた相手に対する生き様を正に一生見せ続けてくれたのである。
男の決意とは、こういうものなのだ、と教えてくれたのである。
夫が病気になってから、
結婚を決意した夫の気持ちを知りたくて
「なんで私と結婚したん?」と何度か聞いた。
でも「なんでって、好きやったからやん!」としか答えてくれない夫に
「どこが好きやったん?」とひつこく聞く私。
「付き合ったどの女とも結婚したいと思ったことはいっぺんもない。
お前と出会って二日目くらいに気持ちが安らかになって行く自分が居て、
すごい幸せやった。絶対結婚したい、と思った」と返ってきた。
どの女とも?今までの夫の発言から、
付き合ってきた女性の数は一ケタではない。
私の性格を言葉で言い表すと、
静かで優しくバイタリティーがない、らしい。
これは、それ程の褒め言葉ではないし、
バイタリティーのカタマリの夫が選んだ理由もイマイチ解らない。
「何か、めちゃめちゃ派手な女の人ばっかり見て来たから、
私みたいな女が珍しかったんちゃうの?」と言うと
「アホか!オレ、そんな単純ちゃうわ!」と怒ってしまう。
ホントはそんな事、どうだっていい。
私の欠点にも辛抱強く付き合ってきた夫の包容力に
今になって驚いている。