最後の通院|3月11日

今日は、最後になる休眠クリニックへ私ひとりが行って来た。
病気が発覚してから、
あまり本人は治療に積極的でなかったこと、
それは夫自身の人生に於ける価値観、或いは生き様から、
どうしても受け入れる事が困難であったこと、
病気発覚後の変貌など、
このクリニックで今まで話すことがなかった項目を話し、
せっかく治療を考えて頂いたのに早急に答えを出した旨を詫び、
お世話になったお礼を述べて帰って来た。
実は、この休眠クリニックに夫が今まで知り合った看護師さんの中で、
格段に、その人格を気に入っている婦長さんがいる。
この婦長が居る事で、夫の中でのクリニックのランクが上がっていると言える。
めったに人を褒めることのない夫が、
帰る度に「あの人、好きやなぁ」と言っていた。
庶民的で裏表がなく、自分を飾ることなく実直で私も大好きな人だった。
「もったいないと思うけど・・・。ご本人の気持ちですしね、
ひょっとしてやっぱり治療しますって言ってくれはるかな、と思って、
来週も予約空けてたんですよ、でも、いつでも気が向いたら来てくださいね」
と言って名残惜しそうに涙を浮かべて頂いた。
こんな重篤な病気になっても、医療関係者と、それほど親密になることはない。
たった一年ちょっとだったけど、キレイで環境の良いスペースを気に入り、
機嫌よく通っていた夫を思うと、やはり涙が溢れる。
もう二度と来ることはない。
14日には、あともう一箇所、
放射線科クリニックへ間質性肺炎の確認にCTを撮りに行かなければならない。
休眠クリニックの院長曰く、
ステロイドは緩和病棟では4錠くらいは使うのが常識らしいので、
治療を止めた今、
全く切ってしまうよりも1錠くらいは飲む方がいいかもしれない、と言われた。
治療と、それに伴う副作用、その副作用を抑える薬剤との兼ね合いは、
今まで常に頭を悩ます項目だった。
しかし、今となっては病気の進行には目をつぶることになる。
あくまで症状の緩和にのみ重点を置くなら、
私も1錠の服用は必要な気がする。