休眠療法と低用量抗がん剤治療| 3月2日

標準治療の様に比較的、元気な患者だけを対象に、
個々の体質を無視して最大耐用量を投与する治療以外に、
休眠療法や低用量治療と呼ばれるものがあり、
一般的には一くくりにされているようであるが、
これは全く違う治療である事を認識していなければならない。
高橋豊氏が提唱し、臨床試験を繰り返し、論文を発表しているものは、
「休眠療法」と呼ばれる治療であり、
それ以外は 表立った論文や臨床の現場で導き出された
確かなデーターを発表するまでには至っていない。
高橋氏は、標準治療のように「出来る限り多くの量」であっても、
低用量のように「だれにとっても安全な少ない量」であっても、
どちらにも何らかの問題が生じるのは明らかであると訴える。
要するに、副作用を全く受けないような量では効果を期待できないし、
ビール半本でベロベロになる人間に、
最初からウィスキーのボトル一本を体に入れると、
効果以前にアルコール中毒で死ぬ人も出る。
従って、グレード2くらいまでの副作用の範囲内で
量を決めるのが妥当であるとする理論である。
ここで、量を決定する際に重要な項目があるが、
それは薬剤によって適量の個人差が3~5倍存在することである。
標準治療では、この部分を完全に無視している。
具体的にはイリノテカンでは5倍、
ジェムザールでは3倍、
タキソールやタキソテールでも3倍、
TS-1は1.5倍となっている。
従って、高橋氏はこの差を考慮して標準量の5.60%から始めれば、
それが多い人も少ない人もデメリットを被る率が少ないとされている。
副作用がグレード2ならそのまま、
グレード3なら減量、
グレード1なら増量、という図式である。
ちなみに元々分解酵素が人間の体に存在しない
シスプラチンやカルボプラチンなどの白金系は、
適量の個人差が少ないので、
標準量で始めて、副作用が出現すれば80%の減量で問題ないとされている。
確かに、副作用は出ないけれど、効果はある、などという甘い話は存在しない。
しかし、グレード2というのは、結構キツイ副作用だと感じる。
治らない病を背負った患者にとって、精神的な継続が可能だろうか。
ましてや、シスプラが標準量?それは何が何でも考えてしまう。
多分、大阪府立成人病センターの主治医でさえ、
減量が前提の気がする。
従って本来の休眠療法というのは極端な減量を意味していない。
そして低用量治療の方は、
副作用は、グレード1までとする場合が多い。
あくまで本人の感じ方に委ねる方針ではあるようだが、
標準量の1/10量から始める場合も多々あり、量に関する定義はない。
それぞれの医師のスタンスに則って
患者個々に合った投与量を導き出しているようである。
しかし、低用量とされる治療は、
医師のカンやコツに頼って実行されているものであり、
論文らしきものは存在しない。
臨床の現場でのカンやコツは、
或いは何ものにも負けないエビデンスと言えるかもしれないが、
悲しいかな理論上、裏づけされないと
少しでも医療界を動かすことは出来ない。
もっとも、ガン拠点病院で行っている、
教科書を片手に患者の気持ちに寄り添わない人たちの標準治療よりは、
エビデンスが無くても人間味がある尊敬すべき治療法だとは思っている。
結局、一般に知れ渡っている休眠療法は、
高橋豊氏が提唱するものではなく、
低用量の抗がん剤治療のような気がする。
私は、あくまで夫の生活の質を極力下げたくないので、
薬剤の種類によって、休眠、低用量に拘ることなく、
主治医と相談して決定したい。
もうひとつ、高橋氏は、
薬剤の量を80%や60%にしても効果がそれほど変わるものではないので、
副作用を確認してから薬量を変えればいい、
むしろ、その方が体力を温存できるので
薬剤の変更がスムーズであると言われている。
サイトをアップしてから、同病、同期の患者さんから、よくメールを頂く。
その中でも多いのが効いているけれど、副作用がつらくて、
生きている意味が無い旨の訴えである。
私は医者ではないので専門的な事は一切、アドバイスはできないが、
ガンの拠点病院でも、80%や60%に薬剤量を変更することは、
充分、相談に乗ってもらえる話だと思う。
医師である以上、自分の患者が苦しむ姿は、
自分のプライドにかけて見たくないはずだから。