医療者とのギャップ | 1月28日

つい最近まで、がんの拠点病院などの重篤な患者を

数多く看取って来た医師や看護師は、

その緊迫した深い時間の中で、多くの思いを抱き、

それを自分なりに消化し、日々の激務に当たることによって、

相当熟練した精神性が宿っているものだと思っていた。

特に医師は患者の命を左右する決定権を握っているから、

あらゆる意味で強靭な神経の持ち主であると尊敬の念も抱いていた。

自分が末期とわかった時、治療をすると答えた患者は

80%を超えるのに対して、医師はたったの19%しかいない事にも、

その冷静さ所以であると理解していた。

しかし今はそうは思っていない。

果たして自分が末期と宣告されたら、本当に治療を拒むだろうか。

人間の生に対する執着は、そんなに甘っちょろい物では無い。

本人に成り代わることなんて100%出来ない。

あくまで想像でしかなく、あくまで蚊帳の外でしかない。

むしろ人間の死が日常茶飯事になっている医師の考えほど

曖昧でいい加減なものはないのかもしれない。

本当に末期がんにならないと、こんな統計は何の意味もないように思う。

日々、お説教をたれ、全てを悟りきったとされていた僧侶でさえ、

自分の死が近いことを医者に告げられ、

半狂乱になった話は結構、有名かもしれない。

絶対にその人の立場になるのは不可能である以上、

自分の考えは、あくまで仮説に過ぎず、

相当なギャップがあると思ってかかるべきと感じる。

最近、何か少しでも精神的にもプラスになる書籍がないかと探す日々が続いていた。

よく医療者が末期がんの患者に向けて、精神的にこうあるべき、

と書いた書籍が目につくけれど、

何かバカバカしくて読む気にならない。

真実を語れるのは家族でもない、当事者でしかないのだと思う。

医療者も、そこのところを充分認識した上で、

患者に対する日々の発言には、細心の注意を払うべきである。

何気なく発した言葉が、患者の心をズタズタに傷つける事もあり、

その人に対して生涯、犯罪者と化す場合もあることを

欠片でも感じてほしい。