モラルについて | 9月11日

こんな事態に陥って、初めてモラルについて考えた。

去年、夫の病気が発覚した時、

全ての検査が終わっていない段階では

未だ手術の可能性がゼロではなかったので、

大阪府立成人病センターの外科の外来に2回ほど足を運んだ。

突然起こった地獄のような出来事を体全体で受け止め、

凍りつくような異常なほど長い時間を夫と二人、無言で過ごした。

医師との対面は更にもっと深い地獄への入り口であった。

PET検査の結果、肝臓への転移が明らかになったことを告げられた。

若干の望みも、ここで絶たれた。

中年の外科医であったが、

そのお粗末な言動をまるで他人事のように

呆然と見ていた事を記憶している。

その医師はCTやPET画像を

時間潰しのようにパラパラめくった挙句、

放ったセリフは

「まぁ、経緯を言うとやなぁ、近くのクリニックの紹介でうちに来て、

それでそこの紹介でCTを撮ったり、

うちでPETを撮ったりした訳やけど肝臓まで行っとるから、

ここでもう手術の話は無くなる訳や、病気はⅣ期と言う事や」

私は生まれてから今まで、

ここまで卑劣で支離滅裂な人間の言葉を聞いた事がない。

それが今、目の前にいる担当医であることを心の底から呪った。

人間社会にはモラルが存在する。

これが無いと国事態が崩壊する。

それ程、人にとって必要不可欠なものであるが、

それが、大阪府立成人病センターのこの空間には存在しない。

100歳の老人にも面と向かって

「あなたは間もなく死にますよ」とは言わない。

それを50代の夫に向かって

当たり前のように幼稚な言葉で言い放つ。

告知に関しては否定論者ではない。

しかし、医師にとっては

人生最大の仕事でなければならないと認識する。

患者の病気を治せない医者の、

もはや残された最大の任務と言えるだろう。

その最大の責任を担う日の前の晩は

ぐっすり眠ってほしくない。

告知が当たり前となった今、

その方法をあらゆる観点から考察し

医師の教育を徹底すべきである。

そのような卑劣な医者は

治らない病気に罹った人間のその後の貴重な人生を奪い、

そして家族にも消える事の無い大きな傷を残す

犯罪者だと思っている。