少し早い老後|2011年9月5日

突然の宣告前は老後について考え出した時期であった。

我々夫婦には子供が存在しないので、

あらゆる後始末を比較的、早い時期に考える必要性を感じていた。

年寄りなりに仕事をし続ける方法、

物件の処理、どのような場所に身を置くか、など。

しかし、全て崩れ去った。

それどころではなくなった。

今思えば、そんな話も二人のリクレーションの一環だったような気がする。

大阪府立成人病センターに足を踏み入れた瞬間から

二人の老後は存在しないと解った。

それなら今からを老後にしよう。

と決意した。

とは言っても実際、

時間的にも金銭面でも老後ではないので制限はどうしても付き纏う。

今までに行った思い出の地を旅行したり、

若い頃によく行ったお店に食事に行ったり

そんな事はしたくなかった。

今からの人生を新しく始めたかったから。
そこで思いついたのが近場のホテルに泊まって近辺散策、

これはやった事がない。

自宅からかなり近くだけれど、

ホテルを拠点にすると、不思議と新鮮。

これは今でも続いている。

お気に入りは今のところ

大阪港にある部屋もバスもオーシャンビューのホテル。

月に2回くらいDVDを持ち込んでボォーっとしている。

最初の頃は心斎橋近くに住んでいるので

仕事の合間に「ちょっとぶらっとしよか」って感じで

賑やかな場所に散歩兼食事に出かけたけれど、

最近はその喧騒が受け入れ難く、うるさく感じて仕方がない。

人間が発するあらゆる音が私には雑音でしかない。
私は妻の役割を果たしているのだろうか。

夫とまるで同じ視点に立っている。

まるで同じ病気に罹っている。

私は病気でない事にふと気付く。
こんなに弱い妻が世の中に存在するのかな。

結婚して27年間24時間一緒に居たので

もう体の一部になっていて

半分以上それを排除されると生きて行けるはずもない。